昔、人気があった、

 『まんが日本昔ばなし』の中に、

 

 ゾッとする恐いお話があったり、

  しみじみと親の愛を感じる、

   怪談もありました・・。

 

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昔、あるところに、

 一軒のアメ屋さんがありました。

 

ある夏の夜遅く、飴屋の主人が、

 店じまいしようとすると、

  店の戸をたたく音がするので、

   主人が出てみると、

 

 あまり見かけない、青白い顔の女の人が、

 「飴を下さいな」と、一文銭を差し出し、

   飴を買いにやってきました。

 

 

こんな夜更けに・・と、主人は怪しみましたが、

 

 申し訳なさそうな小声で頼むので、

  飴屋さんが、入れ物に水飴を入れ、

   女の人に差し出し、

 

 お金を受け取ると、女の人は、

  消えるように帰って行きました。

 

それから毎晩、夜更けになると、

 女の人は、飴を買いにやって来ました。

 

ある雨の日、隣村の飴屋さんが、

 店に訪れて来て、主人と夜遅くまで、

  話をしていました。

 

すると、昨夜のように、例の女の人が、

 飴を買いに来ましたが、

 

「もうお金がないので、

  これで飴を売ってほしい」と、

   女物の羽織を差し出した。

 

主人は女を気の毒に思ったので、

 「お代はいいです」と、

   何も取らずに、

     飴を差し出しました。

 

女の人は、感謝の会釈して、

 店を出て行きましたが、

 

その女性に見え覚えのあった、隣村の飴屋さんが、

 その女性は、村で亡くなって埋葬した、

  人に間違いないと言いました。

 

そこで二人は雨の中、

 女の人の後をつけて見る事にしました。

 

女の人は、どんどん歩いて、

 隣村の墓場まで来ると、

  スーッと音もなく消えてしまいました。

 

怯えた二人は、墓地のあるお寺に駆け込み、

 さっき見た事を和尚さんにまくし立てるも、

  信じてもらえず、和尚さんを説得して、

   一緒に墓場へ戻ってみる事にしました。

 

すると、墓場のどこからか、

 微かに赤ん坊の泣き声が聞こえてきました。

 

声のする方へ行ってみると、

 亡くなった女性の墓の中から、

  赤ん坊の泣き声が・・・。

 

棺桶を掘り起こしてみると、

 女の人の亡骸が、生後間もない、

  赤ん坊を抱いており、

 

手に持たせた三途川渡し代の、

 六文銭は無くなっていて、

  赤ん坊は、主人が売った飴を、

   食べて飢えを凌いでいた。

 

これを目の当たりにした和尚さんは、

 「埋葬された後、墓の中で生まれた子を、

   必死で育てるために幽霊となったのだろう」

    と言って、母の強い愛情に、

     感心した和尚さんは、

 

「この子を引き取り、立派に育てる」

  と話しかけると、女の人の亡骸は、

   頷くように頭をがっくりと落とした。

 

赤ん坊が見つかった後、

 飴屋さんに店主の元に、

  再び現れた幽霊が感謝の印に、

 

 飴作りに欠かせない、

  水が枯れない井戸の場所を、

   店主のお礼に教えたそうです。

 

その水て作られた飴は、

 「子育て飴」として売られ、

   評判いなりました。

 

 

和尚さんが引き取った子供は、

 後に徳の高い名僧になったそうです。

 

亡くなっても我が子を育てる、

 何とも深い母の愛が伝わってくる、

  ジンとくる良いお話。

 

この「子育て幽霊」の話は、

 『まんが日本昔ばなし』以外でも、

   日本の民話、怪談、落語などで多く語られ、

 

 筋立てや結末などに手を加えたものが、

  長崎や京都など場所やタイトルを変え、

   日本全国に、数多く分布しています。

 

 

その理由は、実際にこのような事例が、

 本当にあったそうです。

 

医療が乏しかった昔は、

 遺体が妊娠しているとは気づかず、

  そのまま土葬されて、

 

亡くなって腐敗が始まると、

 体内にガスが溜まり、

  人体は破裂するまで膨張するので、

 

 遺体が妊婦の場合、

  胎児が押し出されることもあり、

  「死後の分娩」、「棺内分娩」と言われ、

 

 CTやレントゲンも、検死もなかった時代、

  死因も疾患もわからなかったので、

   棺桶の中で息を吹き返して、

    出産したケースもあったんでしょうね。

 

本当に、母の愛は強し!。